このアプリ独自のセイバー計算(上級者向け)
前提:3つの方針
Section titled “前提:3つの方針”| 方針 | 中身 |
|---|---|
| 補正の母数は その大会 | 平均はいつもその大会そのものです。見る人やチームで平均が動くことはありません |
| 重みは借り、水準は大会で合わせ直す | 単打・二塁打などの相対的な重みは野球一般の相場を使い、目盛りだけをその大会の出塁率に合わせます |
| 記録は書き換えない | 推定するのは読むときだけです。記録には、記録者が押したことだけが残ります |
打球のタイプは「結果からの逆算」で推定します
Section titled “打球のタイプは「結果からの逆算」で推定します”このアプリで打球の軌道(ゴロ・ライナー・フライ)がそのまま残るのは、「プロ」入力 で打球を選んだときだけです。ふつうの入力では残りません。そこで、結果と守備位置からタイプを逆算 しています。
まず、結果だけで決まるものがあります。
| 結果 | タイプ |
|---|---|
| ゴロアウト・併殺・野選・犠打 | ゴロ |
| ライナーアウト | ライナー |
| フライアウト・犠飛(守備位置が 内野) | 内野フライ |
| フライアウト・犠飛(守備位置が 外野) | 外野フライ |
| 本塁打 | 本塁打(タイプに振らない別の区分。xFIP の飛球には数えます) |
残るのは 安打と失策出塁 だけです。ここは記録にタイプが無いので、次の3つを掛けた割合で振り分けます。
- その投手が打たせたアウトの内訳(ゴロを多く打たせている投手には、ゴロ安打を多めに)
- タイプごとの期待安打率(ライナーは安打になりやすく、内野フライはほぼアウト)
- 打球の方向(内野への安打はほぼゴロ。外野フライには割り当てません)
安打10本なら「ライナー4.7本・ゴロ3.8本・フライ1.5本」のように、小数のまま 数えます。打球アウトが5つに満たない投手は、その大会全体の内訳を使います(アウト1つで「ゴロ投手」と決めないためです)。
27アウトあたりの失点 を、打球のタイプから作り直した数字です。
FIP は「投手が自分で決められるのは本塁打・四死球・三振だけ」と考えて打球をひとまとめに無視しますが、tRA は打席をタイプに振り分けて、その大会での平均的な結果 に置き換えます。
- 見るのは「どのタイプに何打席入れたか」だけです。その打球が抜けたかどうかは見ないので、守備のうまさと運が外れます。
- 失点ベース です。防御率(自責点)ではなく失点率と並ぶ数字で、大会全体の tRA は大会の失点率と一致 します。
- タイプも方向も分からない打席は「その他」として、大会の平均で置き換えます。
コラム:「完璧なリリーフ」が tRA では悪い数字になることがあります
Section titled “コラム:「完璧なリリーフ」が tRA では悪い数字になることがあります”あるリリーフ投手が、四球・ライナーアウト・併殺打 で1回を終えたとします。打者3人で3アウト、被安打0、無失点。WHIP は 1.00 で、FIP も悪くありません。見た目は完璧なリリーフ です。
ところが tRA は、この1回をまったく違うふうに読みます。
| この1回に起きたこと | tRA の読み方 |
|---|---|
| 四球 | そのまま投手の責任 です。打球が飛んでいないので、置き換える余地がありません |
| 併殺打(ゴロ) | 数えるのは 「ゴロを1つ打たせた」ことだけ です。その大会でゴロがどれくらいアウトになったかに置き換わるので、2つ取れたアウトは投手の手柄になりません。ゴロは一定の割合で内野を抜けるからです |
| ライナーアウト | 数えるのは 「ライナーを1つ打たれた」ことだけ です。ライナーは大会平均では安打になりやすいので、正面に飛んだ幸運は取り除かれ、むしろ打たれたものとして扱われます |
つまり tRA から見ると、この1回は「四球を1つ与え、ライナーを1つ打たれ、ゴロを1つ打たせた」だけです。実際に取れた3アウトでは割りません。 この3打席から期待されるアウトはおよそ1つで、それを27アウトぶんに引き伸ばすので、数字は跳ね上がります。
これは計算の間違いではなく、tRA がそういう指標だから です。守備のうまさと運を外して「その投手が作った打球」だけを見る、という目的のとおりに動いています。
この向きは、裏返しても成り立ちます。 打たせた打球が野手の間を抜かれ続けた投手は、失点も被安打も実際より多くなりますが、tRA は打球のタイプごとの平均に置き換えるので その不運は取り除かれ、救われます。逆に、打球が野手の正面ばかりを突いた投手は、その幸運を取り上げられて厳しい数字になります。防御率より tRA が良ければ運に泣いていた、悪ければ運に助けられていた と読めます。
xFIP の飛球
Section titled “xFIP の飛球”xFIP は「飛球 × 大会平均の本塁打率」で本塁打を置き換える指標です。ここでいう飛球は 外野フライと本塁打 です。
- 内野フライは入れません。 内野フライが本塁打になることはないので、母数に入れると本塁打率が薄まります。
- 本塁打は飛球に数えます。 本塁打も飛球だからです。
控えの選手より何勝ぶん上か です。4つを得点でそろえて足し、Rep を加えて、1勝あたりの得点 で割ります。
| 軸 | 中身 |
|---|---|
| 打撃 | wRAA(大会平均の打者より何点多く稼いだか) |
| 投球 | tRA で見た、大会平均の投手より何点少なく失ったか |
| 守備 | UZR(RngR + ARM + DPR)+ 位置補正 |
| 走塁 | 簡易BsR |
これに Rep(Replacement Runs)を足して割ります。Rep は「控えの選手が同じ出場をしたら、どれだけ悪かったか」の下駄で、上手さではなく出場量(打席数と投球回)で決まります。そのためレーダーチャートの軸には出さず、真ん中の WAR にだけ効きます。
- 投球の土台は FIP ではなく tRA です。打球の質まで入るので、守備・走塁と同じ「その人が作ったもの」で揃います。守備と二重には数えません(tRA は打球のタイプごとの大会平均に置き換えるので、後ろの守備が捌いたかどうかは入っていないためです)。
- 1勝あたりの得点 は、その大会の得点環境から作ります(1.5 × 9イニングあたり得点 + 3)。10点固定にはしません。草野球は大会ごとに得点環境が大きく違うためです。
- 大会の中での相対評価 です。他の大会とは比べられません。
簡易UZR(RngR・ARM・DPR)・簡易BsR
Section titled “簡易UZR(RngR・ARM・DPR)・簡易BsR”「簡易」と付けているのは、本来の UZR / BsR より粗いためです。
UZR は3つの合計 です。表では合計を先に、その右に内訳を出しています。
| 何を見ているか | 誰に付くか | |
|---|---|---|
| RngR | 守備範囲。期待より多くアウトにできたか | 全員 |
| ARM | 送球。走者に余分な塁を与えなかったか・刺したか | 外野手 |
| DPR | 併殺。取れる場面で取れたか | 内野手 |
- RngR の期待アウト率は「位置 × 難しさ」で作ります。守備の難しさは「プロ」入力でしか記録されないので、入っていない打球は「ふつう」とみなしています。記録された機会が何件あるかは、画面の帯に出ます。
- ★記録の薄い「位置 × 難しさ」は、同じ難しさの大会平均で見ます。 1機会しかない枠をそのまま使うと「期待100%」のような極端な基準ができてしまうためです。位置の平均では代えません——アウトになる割合を決めているのは位置より難しさの方で(ある大会の実測で、ふつう .761 に対して難しい打球は .357)、位置で代えると難しい打球を追った人ほど不当に厳しくなります。
- ARM の期待は守備位置ごと に作ります。中堅は構造的に余分な塁を与えやすいので(ある大会の実測で、左翼 .200・右翼 .207 に対して中堅 .303)、ひとまとめにすると中堅手だけが不当に沈みます。
- DPR の期待は大会全体でひとつ です。同じ大会の実測で二遊間 .214・コーナー .200 とほとんど差が無く、位置で分けても情報が増えないためです。送りバントは数えません(併殺を狙う場面ではないので、送りバントを許した内野手が一律に沈んでしまいます)。
- 簡易BsR の「余分に取った塁」は、大会平均との差 で見ます。走者が進むのは打者のおかげでもあるので、平均より多く取った分だけを走者の手柄にしています。