打者なら打率、投手なら防御率。野球の成績といえば、まずこの2つです。でも、打率が同じ.300の打者でも、四球をよく選ぶ人と選ばない人、長打が多い人と単打ばかりの人では、チームへの貢献はかなり違います。
セイバーメトリクスは、こうした違いを数字で測ろうとする考え方です。難しそうに聞こえますが、入門として最初に覚えたい OPS と WHIP は、足し算と割り算だけで計算できます。
打者の OPS
OPS とは
OPS = 出塁率 + 長打率
「どれだけ塁に出たか」と「どれだけ先の塁まで進む打球を打ったか」を、1つの数字にまとめたものです。得点との結びつきが強く、打者の力をざっくりつかむのに向いています。
出塁率
打席のうち、どれだけアウトにならずに塁に出たかの割合です。
出塁率 =(安打 + 四球 + 死球)÷(打数 + 四球 + 死球 + 犠飛)
打率と違って、四球と死球も数えます。四球を選べる打者が、ちゃんと評価されるようになります。
長打率
1打数あたり、平均で何塁ぶんの打球を打ったかです。
長打率 = 塁打 ÷ 打数
塁打は、単打を1、二塁打を2、三塁打を3、本塁打を4として足したものです。名前は「率」ですが、最大で4.000になります。
計算してみる
ある打者の成績が、次のようだったとします。
| 項目 | 数 |
|---|---|
| 打数 | 30 |
| 安打 | 9(単打6・二塁打2・本塁打1) |
| 四球 | 5 |
| 死球 | 1 |
| 犠飛 | 1 |
- 打率 = 9 ÷ 30 = .300
- 出塁率 = (9 + 5 + 1)÷(30 + 5 + 1 + 1) = 15 ÷ 37 = .405
- 塁打 = 6 + 2×2 + 4×1 = 14、 長打率 = 14 ÷ 30 = .467
- OPS = .405 + .467 = .872
打率は.300でも、四球と長打のおかげで、OPS はかなり高い数字になりました。
投手の WHIP
WHIP とは
WHIP =(与えた四球 + 打たれた安打)÷ 投球回
1イニングあたりに、何人の走者を出したかです。小さいほど良い数字です。
防御率は、守備のミスや、走者がいるときに打たれたかどうかで大きく動きます。WHIP は「そもそも走者を出さなかったか」を見るので、投手の安定感をつかみやすくなります。
計算してみる
20回を投げて、安打を18本、四球を8つ与えた投手なら、
- WHIP =(8 + 18)÷ 20 = 1.30
1イニングに平均1.3人の走者を出している、という意味です。
投球回に「1/3」「2/3」があるときは、20回1/3 なら 20.33 のように、小数にして割ります。
草野球で使うときの注意
- 試合数が少ないうちは、数字が大きく動きます。1試合の結果で順位が入れ替わるのは当たり前なので、何試合か積み重ねてから見るのがおすすめです
- ほかのチームや、プロの数字とは比べない。対戦相手のレベルや球場によって、数字の出方は大きく変わります。同じチームの中で比べるのがいちばん役に立ちます
- 記録がそろっていることが前提。四球や犠飛を記録していないと、出塁率は正しく出ません
まとめ
- OPS = 出塁率 + 長打率。塁に出る力と、長打の力をまとめて見られる
- 出塁率は四球・死球も数える。長打率は塁打を打数で割る
- WHIP =(四球 + 安打)÷ 投球回。小さいほど走者を出していない
- 試合数が少ないうちは参考程度に。比べるならチームの中で
次の「セイバー入門②」では、もう一歩進んだ wOBA や FIP、守備の指標を紹介する予定です。